ソーシャルワークから見た「ソーシャルワーカーが用いる面接技法」

14相談援助の理論と方法
今回のポイント
なぜソーシャルワーカーに面接技法が必要かを知る。
・技法のメリットをソーシャルワークの流れで理解する。

問題109 次の記述のうち、ソーシャルワーカーが用いる面接技法に関する説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 明確化とは、クライエントを精神的に支えるための応答をすることである。
2 閉じられた質問とは、クライエントに多くの語りを促す質問方法である。
3 支持とは、クライエントの語りをソーシャルワーカーが明確にして返すことである。
4 開かれた質問とは、クライエントが、「はい」や「いいえ」など一言で答えが言える質問方法である。
5 要約とは、クライエントが語った内容をまとめて反射することである。

社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説

もう一度流れを確認。なぜなら、問題さえ解けばいいではなく、国家試験からソーシャルワークを学びたい、それがこのブログの目的だからです。

問題98から問題103までで、今日のソーシャルワークの理論を、歴史も踏まえつつ整理しました。
それらふまえ、問題104では、今日の具体的課題である「在日外国人支援」を確認しました。
そんな課題を乗り越えるため、問題105問題106では、モニタリングや生活モデルを確認しました。それを踏まえて、別の今日的な具体的課題として、問題107では「障害学生支援室」でのソーシャルワーク、問題108では「専門病院」でのソーシャルワークについて検討しました。

それら流れを踏まえて、つまり、そんな様々にある今日的な課題「在日外国人支援」「障害学生支援室」「専門病院」といった場でのソーシャルワークでも、共通して必要な「ソーシャルワーカーが用いる面接技法」なのです。
この問題109の5つの選択肢にあげられている「明確化、閉じられた質問、支持、開かれた質問、要約」の5つの技法は、これら今日的な現場の課題を踏まえるならば、どれもが今日の具体的な現場では必要な技法ってわかってもらえますよねっ!だから、少なくともこれらの正誤ぐらいはわかってね、って国試は言ってるんです。

また、それらの説明として5つの選択肢で示されている、
「クライエントを精神的に支えるための応答」
「クライエントに多くの語りを促す質問方法」
「クライエントの語りをソーシャルワーカーが明確にして返すこと」
「クライエントが、『はい』や『いいえ』など一言で答えが言える質問方法」
「クライエントが語った内容をまとめて反射すること」
どれも、「在日外国人支援」「障害学生支援室」「専門病院」といった場で、援助関係を築くうえで必要な面接スキルだってことになります。

だから、この5つの技法ぐらいはしっかり押さえておいてね、と国試は言っているんです。

選択肢1 ×

不安をかかえ相談に来るのですから、面接では当然「クライエントを精神的に支えるための応答」を意識することで、援助関係が作りやすくなります。これは、「支持」の説明ですね。

選択肢2 ×

「閉じられた質問」と「開かれた質問」は対で整理しておきたい面接技法です。
この選択肢の「クライエントに多くの語りを促す質問方法」は、もちろん、「開かれた質問」のほうですね。
援助関係を作るためには、本人から多くの語りを得て、傾聴したいわけです。ですので、開かれた質問、つまりは「はい、いいえ」で応えるような質問にはしないで、自由に語ってもらえる質問形式である開かれた質問に落とし込みたい。しかし、ソーシャルワーカーが何者かわからず、さらに不安を抱える中で、いきなり多くを語ってくれる人はそういません。
いや、不安だからこそやたらと語ってしまう人もいますが、その場合には、一方的な情報の聞き取りだけに終わり、援助関係の構築には何ら役立たないものになってしまいがちです。
そこで、応えやすい質問にし、援助関係の構築につながるような質問にもっていくために、インテーク段階の最初などは「閉じられた質問」を多用することが多くなります。

選択肢3 ×

「クライエントの語りをソーシャルワーカーが明確にして返すこと」は、選択肢1で提示された、明確化の技法ですね。

不安で相談にクライエントと、アセスメントでいっしょに目標を立て、プランニングで具体的な計画を立てていくためには、クライエントの語りが曖昧ではやっていけません。もちろん、面接の最初の方では曖昧ながらでも、本人に語ってもらうことは大事ですが、具体的な問題解決のために、アセスメントやプランニングを意識していく以上、語りを明確にして返し、それをお互いに確認する必要があります。

選択肢4 ×

クライエントが、「はい」や「いいえ」など一言で答えが言える質問方法は、選択肢1の解説で説明したように、「開かれた質問」の対になる「閉じられた質問」ですね。

選択肢5 〇に近い△

面接技法には、「反射」も技法の1つとして数えられることもあります。
選択肢5は、単純な反射ではなく、「まとめて反射」と表現されているので、「要約」が無難ですが、「反射」を絶対×とは言えません。ただ、他の選択肢が明らかな×ゆえ、これが正解です。

内容をまとめて反射することで、クライエントの理解とソーシャルワーカーの理解が合致しているかどうか、その都度、確認できること、また、クライエントも自分の不安が明確化され理解できること、などがこの技法のメリットです。

正解 5

【お勧めの入門文献】

ソーシャルワークの面接技法で、日本語で読めるもので、初心者にもわかりやすく、かつ、論理的にまとまったものとなると、この本一択になります。

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