ソーシャルワークから見た「相談援助の過程におけるモニタリング」

14相談援助の理論と方法
今回のポイント
・ここまでの問題の流れを、問題文と正答から整理する。
流れを踏まえ、援助プロセスの意味を理解する。

問題105 次のうち、相談援助の過程におけるモニタリングに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントに対する一連の支援終結後に、支援計画の妥当性や効果を測る段階である。
2 支援再開の要否確認のため、問題再発の有無などクライエントの生活状況を確認する段階である。
3 支援計画見直しのため、クライエントの状態変化のありように関する情報を収集する段階である。
4 支援を開始するため、クライエントの問題を把握し、援助関係を形成する段階である。
5 計画どおりに援助が展開されているか否か、計画された援助が効果を上げているか否かなど、援助の経過を観察する段階である。

社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説

ここまでの「相談援助の理論と方法」の問題文と答えを、ざーっと見返してみますか。

問題98 人と環境との関係に関するソーシャルワーク理論
→ソーシャルワーク理論を考えるにあたって「人と環境との関係から考えてみよう」と国試はいう
4 バートレット(Bartlett, H.)は、人々が試みる対処と環境からの要求との交換や均衡を、社会生活機能という概念で説いた。

↓ 社会生活概念って何?

問題99 家族システム論を通して、社会生活概念を説明すると・・・)
1 家族内で生じる問題は、原因と結果が円環的に循環している。

↓ なるほど。今のソーシャルワークは原因と結果を円の循環でとらえるのね。

問題100 エコシステムの視点(=クライエントと環境を円の循環でとらえる視点)に基づく対応
2 「Gちゃんが通う学校の先生(=Gちゃんにとっての環境)に、Gちゃんの学校での様子について尋ねてみてはいかがでしょうか」
4 「お一人で悩まれずに、Gちゃんのことをご夫婦で(=Gちゃんにとっての環境)話し合われてはいかがでしょうか」

↓ エコシステムもそうやって考えるとわかりやすいな。これらを具体化させるとどうなるのかな?

問題101 ソーシャルワークにおける機能的アプローチ
3 クライエントのニーズを機関(=クライエントの環境)機能との関係で明確化し、援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。

↓ 援助機関を環境としてとらえつつ、一方で、援助機関はニーズを明確化させ援助プロセスに乗せる役目を果たすんだな。じゃあ、そんな援助プロセスはどう始まるの?

問題102 初回面接(=援助過程の最初)の対応
3 Kさんが問題や不安を落ち着いて語れるように心掛ける。
5 Kさんに対して地域包括支援センター(=機関)の役割について説明する。

↓ 初回だからこそ落ち着いて話してもらえる関係が大事で、そのためにも機関の役割をはじめにしっかり説明するのか。なるほど。それ踏まえて、次どう進めるの?

問題103 課題中心アプローチ(=初回面接ふまえた実践アプローチ)に基づく応答
1 「就職活動をする上で、今、何が一番問題だとMさんは思われますか」と尋ねる。
4 「Mさんが次の面接の日までに取り組む具体的な目標を一緒に考えましょう」と提案する。

↓ いろいろなアプローチはあるけど、インテークで関係性作った前提で、課題中心アプローチでは、何が問題か自分でしっかり認識してもらって、そこからスタートってことね。ただ、その問題を具体的に一歩一歩超えていくために、短期(=次の面接日)で目標をいっしょに具体化させるのか。ふふーん。もうちょっと具体例が知りたいな。

問題104 在日外国人支援(=今日的なソーシャルワークの具体的課題の対応
2 これまでの就労経験を確認し、働く上での強み(=目標を達成するための材料)明らかにする。
3 生活福祉資金貸付制度などの仕組み(=使える社会資源)を説明し、希望があれば窓口へ同行することを提案する。

 

こんなふうにして、「相談援助の理論と方法」の問題は、今日のソーシャルワークの考え方から始めて、まさしくコロナ禍の今の具体的課題の1つである「在日外国人支援」をどうすべきかという、どの地域でも抱えている問題に一つの答えを与えようとしているわけです。
なんて風に見えますか?
そう見えると、社会福祉士国家試験からソーシャルワークを学ぶっていう、このブログのコンセプトがわかってもらえるのではないかな、と思います。
そのうえでの、問題105の問題ですが、ここでは「モニタリングって何?」とだけ聞いているのではなく、初回面接の意味や具体的なアプローチの考え方、課題など踏まえて、さぁ、ソーシャルワークに共通するプロセスを整理して理解できてますかってことが問われているんです。
ただし、ここの5つの選択肢には、1つだけ明らかに誤った文章があります。それ以外は、正しい文章です。
ということで、直前の問題である「在日外国人支援」なんかを具体的に意識しつつ、プロセスにおける順番で並べていきましょうか。
選択肢4(インテーク) ※問題102の初回面接に相当
支援を開始するため、クライエントの問題を把握し、援助関係を形成する段階である。
選択肢3(アセスメント) ※問題103の「いっしょに目標設定」に相当
支援計画見直しのため、クライエントの状態変化のありように関する情報を収集する段階である。
選択肢1(エバリュエーション)
クライエントに対する一連の支援終結「後」に(=「後」ではなく、支援のプロセスの中で)、支援計画の妥当性や効果を測る段階である。
選択肢5(モニタリング)
計画どおりに援助が展開されているか否か、計画された援助が効果を上げているか否かなど、援助の経過を観察する段階である。
選択肢1(アフターケア)
支援再開の要否確認のため、問題再発の有無などクライエントの生活状況を確認する段階である。

 

モニタリングとエバリュエーションの違いはわかりにくいとされますが、この選択肢では、経過観察的なのが前者、効果を測る(評価する)のが後者、ってことですね。そして、経過観察だけでは支援を今後どうするかの判断に迷う場合には、何らかの妥当性や効果を測ってみることもあるわけです。だから、モニタリングやエバリュエーションはどっちが先か後かというよりも、インターベンション(=支援の実践)の中で行われるもの、というぐらいの理解で十分かと思います。

正解 5

 

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