ソーシャルワークから見た「医療ソーシャルワーカーによる応答」

14相談援助の理論と方法
今回のポイント
・「専門病院である」ということで何をどこまで知っていることが求めているかを確認。
事例問題は、事例文がすべてであり、世界は事例で閉じている。

問題108 事例を読んで、Uがん診療連携拠点病院のE医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)による応答として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Uがん診療連携拠点病院のE医療ソーシャルワーカーは、入院以来関わり続けてきた末期がん患者のFさん(48歳、男性)の妻Gさんから次のような相談を受けた。「夫も私も納得して、緩和ケアに変更して積極的な治療を行わないことを決めたのですが、もしかしたら明日効果的な薬が開発されるかもしれないし、果たしてその決断が正しかったのか。今後のことを考えると私は不安で不安で仕方がありません。今の私は亡くなっていく夫を支えていく自信がありません」と話した。
1 「心配ですね。でも、Fさんはすぐに亡くなると決まったわけではありませんよ」
2 「Gさんなら最後までFさんに寄り添う力がありますよ」
3 「決断に迷いがあるのですね。そのお気持ちをもう少しお話しいただけますか」
4 「おつらいですね。Fさんを支えていく手立てをご一緒に考えていきませんか」
5 「がんの最新の治療方法を調べてお教えしますね」

社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説

がん診療連携拠点病院」がこの事例の場ですが、そこまでこの病院に詳しい情報はいりません。必要なのはこの病院の名称を見て、スペシャリストがチームを組んでがん患者を支えるような病院であろう、というイメージさえわけば十分です。

そのうえで、いつものように、「確実に正解に導ける事例問題の解き方」で解いてみましょう。

①100%誤りといえるものだけに×をつける。※1%でも可能性があれば残す!

100%×は?選択肢1と選択肢2と選択肢5

選択肢1と選択肢5は、明らかに医療職のスペシャリスト(=もちろんこの病院にはいるに決まっている)が応じるべきような内容の発言であり、スペシャリストではないソーシャルワーカーが伝えるべきなことではありません。

選択肢2は、そんな力があると何を根拠に言っているのか、その根拠が少なくとも事例には明示されていません。事例問題は、事例だけで世界は閉じているのであり、事例文にその根拠がない以上、この事例の世界には、根拠はないのです。時々、事例に載っていなくても、勝手な空想で根拠を作ってしまう人がいますが、あくまで事例問題は、事例がすべてなのです。そこを忘れないよう。

②残った△の選択肢から、優先順位1位の選択肢に〇をつける。

この問題は「2つ選べ」で、選択肢は3と4しか残っていない。ということで、この二つが正解。

正解 3と4

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