・社会保障の4種類、社会保険の5種類をしっかり覚える。
・保険者を、医療保険制度の種類ごとに、しっかり分けて覚える。
問題51 医療保険制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 国民健康保険には、被用者の一部も加入している。
2 医師など同種の事業又は業務に従事する者は、独自に健康保険組合を組織することができる。
3 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の保険料率は、全国一律である。
4 健康保険の被扶養者が、パートタイムで働いて少しでも収入を得るようになると、国民健康保険に加入しなければならない。
5 日本で正社員として雇用されている外国人が扶養している外国在住の親は、健康保険の被扶養者となる。社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説
問題50では、今日の我が国の経済が社会保障にどのような役割を求めているのか、そんなことを「機能」という概念を通して理解しました。そんな役割を踏まえ、社会保障を具体的にみていきましょう。
この問題51のタイトルである「医療保険制度」ですが、社会保障との関係、わかりますか?
社会保障は4つの部門で構成されます。そのなかの1つが社会保険があり、そんな社会保険のひとつが医療保険です。
もう一度確認すると、
社会保障は4つ
①社会保険 ②公的扶助(国家扶助) ③公衆衛生及び医療 ④社会福祉
では、社会保険の種類は大丈夫でしょうか。
①年金保険制度 ②医療保険制度 ③労災保険制度 ④雇用保険制度 ⑤介護保険制度
この5つのうち、医療保険制度は「保健医療サービス」、介護保険制度は「高齢者に対する支援と介護保険制度」と重なる内容です。ですので、「社会保障」という科目では、年金保険が頻繁に出題され、医療保険や介護保険はそこまで頻出とまでは言えません。ただし、今回のように全く出題されないわけではありません。逆に、二つの科目で出やすい内容と考えて、しっかり押さえておきたいところです。
それでは、選択肢を1つ1つ見ていきましょう。
選択肢1 〇
被用者という言い方は、社会保険制度ではしょっちゅう出てくる物言いですから必ず覚えておきましょう。
※俗にいうサラリーマン、会社員
会社員は、自分が勤務する勤務先を通じて医療保険や年金保険に強制加入させられて、強制的に給与から社会保険料が天引きされていることはご存じでしょう。
じゃあ、非被雇用者(会社に雇われていないもの等)はどうですか?
健康保険、厚生年金・・・被用者が加入
国民健康保険、国民年金・・・自営業者その他の被用者、非被用者が加入
ただし、これは「大枠の」考え方と書いた通り、例外があるわけです。
その例外はソーシャルワーカーとしてしっかり押さえておかないといけません。なぜなら、それら社会保険の制度が使えなければ、問題50でも見たように安定した生活が保障できなくなってしまうからです。
ということで、できればこの選択肢1は見た瞬間、一発で〇をつけたいところです。
すると、本番では、あとの選択肢は、×かどうか確認するぐらいの感じで、ざっと目を通す、そんな感じですかね。
選択肢2 ×
健康保険「組合」と国民健康保険「組合」はわかりますか?前者は健康保険の、後者は国民健康保険の保険者です。
では、保険者とは?
ということで、保険者は、事業の仕切り屋である以上は、誰なのかは絶対に覚えておかなければなりません。
〇健康保険の保険者は?
①全国健康保険協会(略称:協会けんぽ=中小企業に多い)
②健康保険組合(略称:組合健保=大企業に多い)
〇国民健康保険の保険者は?
①都道府県
②国民健康保険組合
健康保険組合は大企業の事業主が設立して、その会社員や家族が加入員となるのです。
一方で、医師や弁護士などの個人人業主は、医療保険制度について、都道府県が帆賢者である国民健康保険に加入するのではなく、別に組合を作って保険者にすることもできるんです。それを「国民健康保険組合」と言います。
このあたりぐらいも、できれば知っておきたいところです。
選択肢3 ×
「協会けんぽ」については、選択肢3でも示したように、中小企業に多い健康保険です。一方で、大企業に多い健康保険が「組合健保」です。
「協会けんぽ」と「組合健保」の違いは?
まず保険料があります。「協会けんぽ」の保険料は、協会が都道府県別に料率を設定するのです。
一方、「組合健保」の場合は、保険料率は3%~13%の範囲で健保組合ごとに設定してよいことになっています。(したがって、多くの組合健保では協会けんぽよりも保険料率が安く設定されています。これが大企業が組合健保を作るメリットの1つです。)
選択肢4 ×
この選択肢のポイントは内容以前に「しなければならない」という文末です。
→例外が1つでもあれば×
選択肢1でもやりましたが、パートタイムやアルバイトなどの短期労働者は、国民健康保険の加入義務はないのです。実際、それらの人は少なくない割合で、家族によって扶養されています。すると、その扶養されている人の保険に加入することになるのです。
130万円の壁なんて言葉を聞いたことがあるかもしれません。だいたい年収が130万円未満であれば、短期労働者であっても、家族の扶養を受けていることになる、といことです。
選択肢5 ×に近い△
これは、第33回の国家試験本番を受けた人でも知らない人もいたかもしれませんね。
法改正によって、2020年4月より、被扶養者には国内居住が条件とされました。これは知っていなければだめですね。新聞でも記事になりましたし、古い教科書や参考章では載っていないかもしれません。
ですから、外国在住の親は、被扶養者の要件は欠いてしまうのです。
正解 1