ソーシャルワークから見た「地域包括支援センターでの社会福祉士の対応」

05地域福祉の理論と方法

問題35 事例を読んで、N市の地域包括支援センターのC社会福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
N市の地域包括支援センターのC社会福祉士は、担当地区で住民主体の集いの場を行っているグループから、様々な高齢者が集まってくれて手応えを感じているが、福祉の専門的な相談に対応できずに悩んでいる、と相談を受けた。C社会福祉士は、この相談を住民活動と協働して、アウトリーチによる早期のニーズ把握を行う好機と捉え、対応することにした。
1 集いの場を通じて高齢者の早期のニーズを正確に把握するため、地域包括支援センターが主体となった運営に切り替えることを提案する。
2 集いの場において受付や後片付けなどを手伝い、集いの場により多くの参加者を受け入れられるよう支援する。
3 専門的な相談機関のリストを作成し、相談が必要な人に渡すよう、集いの場に参加している高齢者に依頼する。
4 集いの場に地域包括支援センターの保健師を派遣し、適切な介護予防のプログラムが実施できるよう指導させる。
5 集いの場において出張相談を実施し、気になることがあればいつでも相談してほしいと参加者に伝える。

社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より

「地域福祉の理論と方法」での、2回目の事例問題になります。第33回の国家試験では、「地域福祉の理論と方法」では、事例問題は3問(10問中)ありました。ここが同様に総合科目と呼ばれる「現代社会と福祉」との違いです。「現代社会と福祉」では事例問題はほぼ出ません。総合科目と呼ばれる科目は点が取りにくいという人が少なくありませんが、であればあるほど、「地域福祉の理論と方法」での事例問題は確実に点が取れる、そのような解き方を意識する必要があります。

ということで、問題32でも確認した「確実に正解に導ける事例問題の解き方」を改めて確認してみましょう。

<確実に正解に導ける事例問題の解き方>
大前提:〇はつけない。選択肢につけるのは×か△のみ。
①まず、100%まちがいといえるものだけに×をつける。
※1%でも可能性があれば残す!
②残った△の選択肢から、優先順位1位の選択肢に〇をつける。
(優先順位は問題文から読み取る)
この事例のポイント
住民主体の集いの場:福祉の専門的な相談に対応できずに悩む
→「アウトリーチによる早期のニーズ把握を行う」チャンス

①100%まちがいといえるものだけに×をつける
選択肢1、選択肢3、選択肢4が×

選択肢1

「住民主体の集い」が前提なのだから、地域包括支援センターを主体にしては意味がない

選択肢3

アウトリーチとは「こちらから出向く」ことであって、リストを渡すのでは「あちらから出向かせる」ことにしかならない

選択肢4

保健師という専門家を呼んで解決では、住民主体の場という前提そのものが崩れる。

②残った△の選択肢から、優先順位1位の選択肢に〇をつける。
(優先順位の大原則は早くするほう)

選択肢2と選択肢5

でどっちを早くやるか。
「集いの場により多くの参加者を受け入れられる」ようにすることで、住民主体の理念をさらに拡大させることは将来的にありえることだが、まずは「アウトリーチによる早期のニーズ把握を行う」チャンスを早く実践しなければ、下手をするとこの集い自体がなくなりかねない。
そこで、まず選択肢5で、集いの場を使いながら、こちらから集いの場に出張して相談をうけるというのは有効な戦略。

正解 5

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