・スーパービジョンの種類を整理する
・過去問から定義を学ぶ、そのやり方を知る
問題114 次のうち、複数のスーパーバイジーがスーパーバイザーの同席なしに行うスーパービジョンの形態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ピア・スーパービジョン
2 グループ・スーパービジョン
3 ライブ・スーパービジョン
4 個人スーパービジョン
5 セルフ・スーパービジョン社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説
ネットワークのマイナス部分(問題112)を配するために、グループワークには原則があること(問題113)を学んだうえで。
そんな原則に沿っているかどうか、ソーシャルワーカーとして、その都度、確認する必要性が出てきます。確認する手段として、ソーシャルワークには、スーパービジョンという手法があります。
ということで、スーパービジョンですが、国家試験ではほぼ毎年のようにこの科目で出題されています。「過去三年分の過去問は最低限」と私は伝えてきましたが、過去三年分を見ると連続して毎回出題されています。確認してみましょうか。
参照 過去3年で出題された「スーパービジョン」の単独問題
※○がついてる選択肢が正解
第32回問題116 グループスーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパーバイザーがスーパーバイジーの個々人の資質や能力を比較し評価することを目的とする。
2 スーパーバイザーがスーパーバイジー間の信頼関係を、個人スーパービジョンよりも短時間のうちに構築できる。
③ スーパーバイジー同士の議論や検討により、学習効果の高まりを期待することができる。
4 スーパーバイジー個人が抱える問題を、複数のスーパーバイザー間で共有することで、より適切な支援が行われる。
5 個々のスーパーバイジーが担当する事例ではなく、一般的な模擬事例を検討に用いる。
第31回問題115 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパービジョンの目的は、より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある。
2 スーパービジョンの契約は、スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。
3 ピアスーパービジョンでは、スーパーバイジーが所属する職場内の上下関係を活用して行う。
④ パラレルプロセスとは、スーパーバイジーであるソーシャルワーカーとクライエントとの関係とよく似た状況が、スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係において起こることをいう。
5 スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整するのは、スーパービジョンの支持的機能である。
第30回問題115 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパーバイジーとは、スーパーバイズする立場の人のことである。
② 意義は、クライエントへのサービスの質、専門性の質などの維持・向上を図るために業務の振り返りを促すことである。
3 管理的機能とは、スーパービジョン関係を用いて情緒的・心理的な面をサポートすることである。
4 支持的機能とは、専門職としての知識・技術・価値・倫理を習得させることである。
5 教育的機能とは、業務遂行が可能になるように適切な業務量などに目配りすることである。
過去三年分の中で、この問題114の選択肢に出てくる「グループスーパービジョン」や「ピアスーパービジョン」が出てくるのですから、「これらスーパービジョンの種類に関する整理は当然やっておいてね」というのは、この第33回国家試験を受けるにあたっては大前提だったわけです。
じゃあ、これらスーパービジョンの種類の整理も過去問を使ってやってみますか。過去4年、つまり第29回まで遡ると、これらスーパービジョンの種類の問題がもろに出題されちゃってるんですよね。
参照 今回の問題と同じ、「スーパービジョンの種類」が問われた単独問題
※○がついてる選択肢が正解
第29回・問題117 スーパービジョンに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ピア・スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが同席して行う。
② グループ・スーパービジョンは、一人のスーパーバイザーが複数のスーパーバイジーに対して行う。
3 個人スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが相互に交代しながら行う。
4 セルフ・スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが1対1で行う。
5 ライブ・スーパービジョンは、スーパーバイザーを置かずに,スーパーバイジーが集団で行う。
第24回・問題109 スーパービジョンに関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 個人スーパービジョンとは、複数のスーパーバイザーが,一人の援助者に対してスーパービジョンを行うことをいう。
2 グループスーパービジョンとは、複数のスーパーバイザー間の相互作用を活用しながら,援助者に対してスーパービジョンを行うことをいう。
3 セルフスーパービジョンとは、援助者が所属する職場内の人間関係を,援助者自らが活用してスーパービジョンを行うことをいう。
4 ピアスーパービジョンとは、援助者が所属する職場内の上下関係を活用してスーパービジョンを行うことをいう。
⑤ ライブスーパービジョンとは、スーパーバイザーが援助者の実践場面に同席するなどしてスーパービジョンを行うことをいう。
さて、それでは、スーパービジョンの種類が直接問われた、この二つの過去問の文章を使って、各スーパービジョンごとの定義をしてみましょう。せっかく国家試験が教えてくれているのですから、できる限り国家試験の文章を活かしてそのまま使った定義にしたいと思います。
ただし、この問題114は問題文に「スーパーバイザーの同席なしに行うスーパービジョンの形態」とあるので、スーパーバイザの「あり/なし」で種類わけして整理してみましょうか。
<スーパーバイザーあり>
○個人スーパービジョン:一人のスーパーバイザーが,一人の援助者に対してスーパービジョンを行う
○グループスーパービジョン:一人のスーパーバイザーが複数のスーパーバイジー間の相互作用を活用しながら、スーパービジョンを行う
→スーパーバイジー同士の議論や検討により、学習効果の高まりを期待することができる
○ライブ・スーパービジョン:スーパーバイザーが援助者の実践場面に同席するなどしてスーパービジョンを行う
<スーパーバイザーなし>
○ピア・スーパービジョン:スーパーバイザーを置かずに,スーパーバイジー同士が集団で行う
○セルフ・スーパービジョン:スーパーバイザーを置かずに、過去の記録などを参照して、自分自身で行う(※過去問では適切な文章を作れる要素がなかったオリジナル)
ということで、問題文にある「スーパーバイザーの同席なし」を満たし、さらに問題文にある「複数のスーパーバイジー」を満たすのは、選択肢1のピアスーパービジョンしかありません。
正解 1
【お勧めの関連入門本】
グループスーパービジョンの本になりますが、本の構成が初学者向けで読みやすく、様々なケースごとの具体的な場面が提示されていて大変読みやすいです。グループスーパービジョンに限らず、スパービジョンの入門としてどうぞ。