問題45 次のうち、行政機関に配置が義務づけられている職種として、正しいものを1つ選びなさい。
1 身体障害者更生相談所の身体障害者相談員
2 都道府県福祉事務所の知的障害者福祉司
3 婦人相談所の母子・父子自立支援員
4 精神保健福祉センターの精神保健福祉相談員
5 児童相談所の児童福祉司社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説
さて、問題44は都道府県の必置の機関でしたが、今度はそれら機関での必置の職種になります。これは問題44をさらっと解けた人なら、この問題はサービス問題に見えるでしょうね。ただ、問題44がわからなかった人には、この問題45も手ごわかったかもしれません。これもまた、絶対にいなければ制度が成り立たないような、そんな職種がここに1つだけあるよっていっているんですから、絶対にいないと、措置という考え方上、まずい人を選べばいいわけです。
選択肢1 × 選択肢2 × 選択肢4 ×
問題44でやったように、身体障害者更生相談所や知的障害者更正相談所は、それぞれの手帳制度を前提にして、それぞれの根拠法に基づいた措置制度を都道府県の名義で仕切るのでしたね。すると、名義上は都道府県知事の名義でハンコなどは押されるわけですが、具体的に仕切る専門官的な役割を設けないと不便です。
<障害者福祉関連の都道府県の専門官(必置)>
身体障害者更生相談所:身体障害者福祉司(任用資格)
知的障害者更生相談所:知的障害者福祉司(認容資格)
精神保健福祉センター:必置資格なし ×精神保健福祉士
身体障害者更生相談所:身体障害者福祉司(任用資格)
知的障害者更生相談所:知的障害者福祉司(認容資格)
精神保健福祉センター:必置資格なし ×精神保健福祉士
精神保健福祉センターにだって、必置の職種があってしかるべきなのです。だって、手帳制度があり、その前提として措置制度があり、それらを仕切るための職種があったほうが便利だからです。しかし、どうしても置けない事情があります。
それは、精神保健福祉士という国家資格があるからです。
国家資格所持者を必置職種とはできません。これらは都道府県の機関だということは、都道府県の公務員がやる役職だと思ってください。それら役職に、国家資格がなければつけないようなそんな役職があったら、都道府県という行政機関による制度を、資格で縛るようになるじゃないですか。
例えば、精神保健福祉センターの専門官みたいな人が、精神保健福祉士もってなきゃなれないとして、たまたま都道府県の公務員に精神保健福祉士を誰も持っている人がいなければどうなりますか。制度が成り立たないのです。
また、手帳制度やそれに基づく措置制度を運営する都道府県としては、その制度を仕切るにふさわしい人材に仕切らせたいのに、資格所持者でなければこのセンターを仕切れないとしたら都道府県としても困るでしょう。
かといって、精神保健福祉士という国家資格があるのに、精神保健福祉の専門官みたいな資格が都道府県の内部にあるのもなんかやっぱり変なのです。誤解が生じます。
ということで、精神保健福祉センターにだけ、専門官の必須の職種はないのです。
ちなみに、選択肢1の身体障害者相談員というのは、知的障害者福祉法による知的障害者相談員同様に、ボランティアです。その地域の相談員として、都道府県や市町村が住民にお願いして、引き受けてくれた人ぐらいのイメージでいいでしょう。このへん、詳しく話すと面白い話もいくらでもできるのですが、これぐらいにしておきましょう。
選択肢3 ×
「母子・父子自立支援員」と見て、婦人相談所って思ったらダメですよ。「母子・父子」という用語は、もちろん、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」によるものに決まってますよ。
「婦人相談所」の根拠法もよく狙われます。売春防止法ですね。
選択肢5 〇
児童福祉法に基づく児童相談所には措置制度を仕切るだけではない、極めて強い権限があります。例えば虐待案件などの介入含め強い権限があります。すると、専門官を職種としてしっかり規定して、責任を持たせなければなりません。それが児童福祉司です。これもまた都道府県レベルの公務員になります。ここを国家資格化しようとしている動きが近年あるわけですね。
ただ、どうでしょうかねぇ。人によっていろいろ意見は分かれるところでしょうね。
正解 5