ソーシャルワークから見た「認知行動療法」

02心理学理論と心理的支援

今回のポイント
・なぜ今、ソーシャルワークで認知行動療法なのか、その背景を知る。
・そのうえで、認知行動療法にソーシャルワークが求める射程を理解する。

問題14 認知行動療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 セラピストは,クライエントが独力で問題解決できるように,クライエントとの共同作業はしない。
2 他者の行動観察を通して行動の変容をもたらすモデリングが含まれる。
3 クライエントは,セッション場面以外で練習課題を行うことはない。
4 リラクセーション法は併用しない。
5 少しでも不快な刺激に曝すことは避け,トラウマの再発を防ぐ。

社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説

さて、問題8で、今を生きる人間の目標設定を仮設し、そのためのツールとを問題9と問題10で提示し、そこで立ちはだかる課題に対する考え方を問題11と問題12で示し、そこに相対するための分析ツールを問題13で示す、第33回の「心理」の問題はそんな構成で組まれています。

じゃあ、問題14の最終問題は、というと、じゃあ具体的にどういう方法があるんだ、ということで、それらを踏まえ、今生きる人間を支えるための方法論が展開された、と理解してみましょう。

それが「認知行動療法」なのだってことになります。

つまり、「知覚」だけでも「社会資源」だけでもない、両方を総合した上で、「発達障害」や「心的外傷後ストレス障害」をものりこえていくような、そんな方法論として、問題タイトルとして掲げられた「認知行動療法」があるのではないか、そう国家試験が言っているのです。

そう思えさえすれば、答えはもう1択なんですよ。そう、選択肢2です。「社会関係」としての他者、そんな他者の行動観察を、自分の「知覚」を通してやりながら、自分の行きづらい行動をゆるやかに変容させていく、そんなモデリング(=観察学習)が含まれる、それが「認知行動療法」なんだよと。
バンデューラのモデリングは、「他者」(=社会的関係)を取り込むなく本人の内だけですべてを説明しつくそうとするスキナーの行動主義心理学への批判として受け取れます。つまり、人間の行動変容とは、他者へ観察というまなざしを向け、それを積み重ねていくプロセスなのだ、という理解です。

この見方・考え方が、「認知行動療法」のみならず、ソーシャルワークの行動変容アプローチへ影響を与えたのは当然と言えるでしょう。見方・考え方がソーシャルワークと親和的じゃないですか。

どうでしょうか。

正解 2

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