・科目横断的な問題はたいてい易しいからビビらないこと
・知らない選択肢を見たら、他の選択肢で勝負ぐらいに思えるようにすること
問題93 国が規定する近年の相談事業に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域で生活する障害者のために、「地域生活定着促進事業」が創設され、地域生活定着支援センターにおいて相談支援業務が行われるようになった。
2 「スクールソーシャルワーカー活用事業」において、社会福祉士や精神保健福祉士等がその選考対象に明記されるようになった。
3 地域包括支援センターでは、社会福祉士等によって「自立相談支援事業」が行われるようになった。
4 矯正施設退所者のために、「地域生活支援事業」が創設され、市町村における必須事業として相談支援事業が行われるようになった。
5 生活困窮者自立支援制度が施行され、その中核的事業として「総合相談支援業務」が行われるようになった。社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説
この手の問題、社会福祉士国家試験で、ここ2~3年で、増えてる印象がありますね。
この手の問題とは?「科目横断的」な問題です。
この問題の選択肢にあるもののほとんどが「相談援助の基盤と専門職」の教科書には載っていないだろうと思います。いや、言い方変えてみようかな。教科書も今やいろんな出版社がありますからねぇ。この選択肢のすべての「相談事業」が載ってる「相談援助の基盤と専門職」の教科書は一冊もないでしょうね、にしましょうか。
ただし、それぞれ、他の科目で、確実に載っている基本的な「相談事業」ばかりです。そして、1つだけ、もしかしたらどの教科書にも載っていないかもしれません。選択肢2の「スクールソーシャルワーカー活用事業」です。これが正解。なんてパターンも国家試験ではよくあります。
ということで、詳しくは他科目に譲るとして、ざっと選択肢を見てみますか。
選択肢1 × 選択肢4 ×
この二つの選択肢は、これまた国家試験でよくある、入れ替えで、両方とも×になるような選択肢ですね。
そして、この二つは用語的に似ているから、入れ替えてる、それ以上でもそれ以下でもないように思えますね。ただし、どちらも基本であり、しっかり押さえておかないといけない分野です。
(なぜ、この両者はしっかりと押さえないといけない基本事項か、それは個別の教科で問題に出てきたら説明しましょう。)
〇「地域生活定着促進事業」
科目=更生保護制度
対象:主に矯正施設入所中や矯正施設出所した障害者・高齢者
設置根拠:厚労省社会・援護局「地域生活定着支援事業実施要領」
→このなかで、相談支援業務も担っている〇「地域生活支援事業」(⇔「自立支援給付」)
科目=障害者に対する支援と障害者自立支援制度
根拠法:障害者総合支援法
→この中に、市町村における必須事業として「相談支援事業」
※この「相談支援事業」と障害者総合支援法の自立支援給付の「特定相談支援事業」「一般相談支援事業」の違いはちゃんと整理しておくこと!
〇「地域支援事業」(⇔「介護給付」)
科目=高齢者に対する支援と介護保険制度
根拠法:介護保険法
→この中の、「包括的支援事業」に位置付けられる「地域包括支援センター」が総合相談を担う
選択肢3 × 選択肢5 ×
この二つも、入れ替えて両方×にしているものだし、言葉も似てもないけど、こういうのはすぐ気づいて×にしたいねぇ。
科目=高齢者に対する支援と介護保険制度
根拠法:介護保険法
〇「生活困窮者自立支援制度」
科目=低所得者に対する支援と生活保護制度
根拠法:生活困窮者自立支援法
→その中の「自立相談支援事業」:社会福祉士等によって担われる総合相談
選択肢2 〇に近い△
「スクールソーシャルワーカー活用事業」なんて聞いても、できる人でも「どっかで聞いたな」どまり。そんなことは問題作成者のほうがよく知ってる。だからこそ、他の選択肢は、他科目横断的ではあるけど、確実に×しなきゃいけないものばかりをちりばめ、さらに、「社会福祉士や精神保健福祉士等がその選考対象に明記されるようになった」って、そりゃスクールソーシャルワーカーで、社会福祉士や精神保健福祉士を入れないって発想なんて考えられないし、ましてや、この選択肢に×をつけさせるような選択肢だとしたら、その国家試験問題作成者の意図って何?
何度も言うけど、国家試験の問題作成者は、選択肢に〇をつけさせることで、そこにソーシャルワークの見方考え方を伝えようとしてるんだよ。社会福祉士をとろうとしてるあなた方に、この選択肢に×付けさせる意図って何?「学校文化では社会福祉士なんて意味ねーよ」って?そんな発想、ありえないでしょ。
じゃあ、なんでこの選択肢に問題作成者は〇をつけさせようとしているんですか。そこは解釈であり、コミュニケーションです。問題を90問以上といてきて、読んできてどう思います?
私だったら、「あなた方もスクールソーシャルワーカーになれるんだよ」という期待をかけてるとみますかねぇ。スクールソーシャルワーカーはほんとお金的にもなかなか厳しかったですし、今も必ずしも恵まれているとは言えませんが、だいぶ予算的なものや位置づけも含め、この数年でだいぶ進んできた印象はあります。
スクールソーシャルワーカーなりたい人、いらっしゃるんじゃないでしょうか。社会福祉士、ここ、勝負ですよ!一緒に頑張りましょう。
正解 2