・医師法における医師の定義の最低限を押さえておく
・落としてもいい問題と取らなければいけない問題の差異がわかるようにする
問題74 日本における医師の資格、業務及び偏在に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 医師が正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らす行為は、刑法により罰せられる。
2 医師は診察治療の求めがあった場合には、事由のいかんにかかわらず、拒むことはできない。
3 医療施設に従事する医師の人口10万対の数を地域別にみると、東北地方に比べて近畿地方が少ない傾向にある。
4 医師の養成機関に対する指定権者は、厚生労働大臣である。
5 医療施設に従事する医師数を施設種別にみると、診療所に従事する医師が最も多い。社会福祉士国家試験 第33回(2021年)より解説
これは、かなりの難問でしょうね。ものの本によると、この問題の正答率は3割切っているようです。ちょっとびみょーな選択肢もあるので、この問題は間違ってもしかたないかもしれません。
こういう問題は「落としてもいい問題」と割り切ることも大事です。
その観点は、「ソーシャルワーカーが知っておかなければならないか」どうかによります。
選択肢1 ×
1. 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2. 宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする
刑法で規定されているということで驚かれれる方もいるかもしれません。
日本では、医師や弁護士、あと公証人、さらには宗教関係者ですか、このあたりが知りうる個人情報というのは、外部に漏らされると「個人の利益」を著しく侵害してしまうおそれがある、そのように国家は考えているわけです。
そういう特殊な仕事として、「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者」「宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者」が国家から指定されているんだよ、と考えればよいのです。
じゃあ、刑法では規定されていない職種は罪により罰せられないのでしょうか?
もちろん、そうではありません。それぞれの職業のルールを定める法律のなかで、守秘義務違反に関する規定があり、違反者には罰則が適用されることが明記されています。
だから、専門科目では、社会福祉士や精神保健福祉士の守秘義務に関する罰則規定はよく狙われます。
社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。精神保健福祉士法 第40条
精神保健福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。 精神保健福祉士でなくなつた後においても、同様とする。
選択肢2 ×
診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
選択肢3 ×に近い△
医師は人口比でみても都市部に多い、という傾向は絶対に知っておかなければなりません。だからこそ、過疎地域による医師不足問題は、高齢化と同時進行で勧める地域医療施策の大きな課題になっているわけです。
すると、「東北」と「近畿」で、過疎化が進んでいるのは、大坂・神戸という大都市がある「近畿」に比べれば、「東北」ということになるでしょうね。
選択肢4 ×
医師の免許付与者:厚生労働大臣
両資格の免許付与者:厚生労働大臣
びみょーな選択肢ですねぇ。
選択肢5 ×
「病院」と「診療所」です。
→患者が入院できるベッドの数
・20床以上ある医療機関=病院
・19床以下の医療機関=診療所
診療所に従事する医師: 約10万
病院は都市に多いです。そして、病院従事者の医師は多い。
これは、先にあげた、都市に医師が多い要因の1つでもあるわけです。
正解 1